シーケンサーはシーケンス制御を行うコントローラです
シーケンサーとは、シーケンス(順番)を制御するコントローラのこと。スイッチやセンサーなどの入力機器の信号により、あらかじめ決められた条件(プログラム)に従って出力回路をコントロールするものです。プログラムを変更することで、ユーザーは自由に機器を制御することができます。
※シーケンサーは三菱電機の登録商標です。
シーケンスとシーケンス制御の定義
日本工業規格(JIS)の旧規格 C 0401の自動制御用語では、以下のように定義されています。
- シーケンスとは、現象の起こる順序を言う。
- シーケンス制御とは、あらかじめ定められた順序、または一定の論理によって定められる順序に従って、制御の段階を逐次進めていく制御を言う。
シーケンサーとPLCは同義!?
厳密に言うと、シーケンサーはPLCの一種です。PLC(Programmable Logic Controller)は、リレー回路の代替装置として開発された制御装置のことで、シーケンサーは三菱電機製のPLCとして誕生しました。つまり、シーケンサーは三菱電機の商品名だったわけですが、現在ではPLCの代名詞として一般化しており、PLCもシーケンサーも同義として使われています。
シーケンスとシーケンサーは何が違う?
シーケンス(Sequence)とは、「連続」や「順序」などの意味を持つ言葉で、機械・機器を自動で規則正しく動かしたいときに用いる制御方式のことです。これに対し、シーケンサーは上述のとおり、シーケンス制御を行うためのコントローラのことです。似た意味を持つ言葉ですが、若干使い方が違います。
シーケンサーの用途
自動車製造ライン、電気製品の製造ラインなどのFAシステム、製紙機械や印刷機械、金属加工機械や半導体製造装置など、工場の生産ラインでは、ほとんどの場合でシーケンサーが使われていると言っても過言ではありません。
また、工場の自動機械制御に用いられるほか、立体駐車場や自動洗車機、エレベーターや自動ドア、ボイラーやテーマパークのアトラクション、自動販売機、バッティングマシンなど、私たちの身近の様々な設備・装置に使われています。
- 全自動洗濯機・エアコンなどの電化製品
- 立体駐車場・信号機・自動販売機など街中にある機械
- 工場の産業ロボットや自動化設備・ビルのエレベーターや自動ドア・発電所や変電所
これまでシーケンサーは、スタート・ストップなどを制御する比較的単純な機械動作に用いられてきましたが、最近ではデータ収集や複雑な信号処理を伴う大規模な制御機器にも用いられるようになっています。あらゆる分野で活用され、自動化・省力化に大きく貢献しています。
シーケンス制御のイメージ図
工場内において、商品をコンベアでA地点からC地点に搬送する際の行程です。
(1)スタートボタンを押すと、部品がコンベアでA地点からB地点に搬送される
(2)部品がB地点に到着すると、30秒間停止した後、コンベアでC地点に搬送される
(3)部品がC地点に到着するとコンベアが停止する
これは極めてシンプルな事例ですが、シーケンス制御を理解するうえで非常に分かりやすいイメージだと思います。機械に行わせる動作を順序正しく覚えさせておくことで、スタートボタンを押すだけで、あとは全部制御装置が仕事を行ってくれるわけです。
シーケンサー、シーケンス制御のメリット
- 処理速度が格段に上がる
- 自由かつ簡単にプログラムの作成・変更ができる
- 省スペース化 配置スペースをとらない
- タッチパネルと組み合わせることで、操作パネル・内部配線をスッキリさせることができるので、制御盤を小型化できる
- パソコンを使用して内部の運転状況を細かくモニタすることが可能なのでトラブルの原因などを究明しやすい
- 改造が必要になったときでも、内部のプログラムを変更するだけでほぼ解決できる
- 拡張ユニットと組み合わせることで、ネットワークに対応したり、アナログ信号の入出力に対応したりできる